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2010-05-13 H22税制改正-消費税課税事業者選択届出 [税金の話]

消費税の改正については、これが目玉でしょう。 よく認識しておかないとあとでとんでもない目に遭うかもしれません。

ここから先はちょっと話がながくなりますので、消費税の申告納税制度が判っている人は緑字の部分は読み飛ばして頂いて結構です

消費税は商品を売り上げたりサービスを提供したときに、消費税としてお客さんからあずかった金額から、仕入や経費で支払った消費税の金額(これを「仕入控除税額」といいます)を差し引いて差額を納税するという構造になっています。


反対に、仕入控除税額が預かった消費税額を超えるときは、その超える部分の返還を受けることができます。

個人事業者であれば前々年、法人であれば前々事業年度(これらを「基準期間」といいいます)の課税売上高(法人の場合、前々事業年度は1年に満たないときの換算があります)が1千万円以下であれば、その年又はその事業年度は免税事業者ということになって消費税を納める必要がありません。 中小事業者の事務負担を考慮して申告しなくともよいとしたのです。


また、基準期間の課税売上高が1千万円を超えて課税事業者になったとしてもその年またはその事業年度の課税売上高が5千万円以下であれば、選択により、簡易課税制度選択届出書を提出して簡易な計算で納税できる制度があります。 これは実際の仕入控除税額の金額に関係なく、課税売上高に一定の割合を乗じて計算した金額を仕入控除税額の金額にするというもので、これを選択した方が納税額が少なくてすむと言う場合があります。

ところで免税事業者であっても仕入や経費を支払うときは、消費税が上乗せされてきますので、これをカバーするためには、名目をどのようにするかは兎も角、消費税相当額を代金として受け取っていると思います。


この場合、受け取った消費税相当額>支払った消費税相当額 の時は差額が利益になりますから、基準期間の課税売上高が1千万円を超えない限り、免税事業者のままでいるということになります。


この免税事業者に該当するQ法人が、1億円掛けて貸しビルを建て不動産賃貸業を始めることにしたとしましょう。 建築工事代金には500万円の消費税が加算されて請求されます。 免税事業者に該当するくらいですから2年前の課税売上高が1,000万円以下であったQ法人は、業績が順調に伸びたとしてもその事業年度の課税売上高が4,000万円位の見込みです。


そうすると受け取れる消費税相当額は4,000万円×5%の200万円ということになって、差引300万円の持ち出しということになってしまいます。 つまり、免税事業者であるQ法人は申告しなくとも良い代わりに持ち出しがあっても、それは自分で負担することになってしまいます。

このような場合には、その事業年度が開始される前に「課税事業者選択届出書」を税務署長に提出して、課税事業者になり申告書を提出することによって、払いすぎた消費税額を取り戻せることになっているのです。 

この事業年度では課税事業者になったとしても、簡易課税の選択届出書は提出しません。簡易課税制度を選択すると、実際の仕入控除税額とは関係なく納税金額を計算しますから、過払いの消費税額を取り戻すことができないからです。


Q法人は貸しビルを建てた事業年度の翌事業年度からは、課税売上高が5千万円を超えることがないと見ており、簡易課税制度が有利と見て翌事業年度のための「簡易課税選択届出書」を提出します。

ここまでは、消費税としては当たり前の話です。


ちょっと長い話になりますが、ここからが肝心です。


居住用の住宅の家賃は消費税が非課税になっています。 つまり、マンションを建てて1,000万円を超える家賃収入があったとしても家賃収入しかなければ消費税は0です。 その代わりマンションの建築代金に掛かる消費税は返してもらうことができません。 いくら課税事業者選択届出書を提出しても課税売上がないのでダメなのです。


そこで、こんな風に考えた人がいました。 家賃は非課税だけれども、マンション建築をしているときに自動販売機を建築現場において、課税売上がでるようにしよう。 そうしておいて課税事業者選択届出書を提出しておけば、消費税が戻って来るではないか。


実際の仕組みはもうちょっと説明が複雑になりますが、とにかく法律上は還付を受けることができたのです。


非合法じゃないけれど、法律の穴をついた処理でもともと問題になっていたのです。 それで今回の改正で対応しようと言うことになったのです。 しかし、その対応の仕方が問題なのです。


たしかにマンションの消費税を還付してもらうと言うことが、実質的にはできなくなりました。 それはそれでいいのですが、その波及で困ったことになったのです。


通常、課税売上が1千万円を超えない事業者は敢えて課税事業者になるようなことはしません。 ある事業年度(年)に、大きな金額の仕入控除税額が発生するようなときに課税事業者選択届出書を提出するのです。 一旦、課税事業者選択の届出を行うと、2年間は強制的に課税事業者になります。


課税事業者を選択したときは、たとえ基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも申告納税するということなのです。 消費税の還付を受けたい事業年度はともかく、課税売上高が1,000万円以下ならば強制的に課税事業者にされる2年を経過した後は、もとの免税事業者に戻りたいはずです。


これまでなら2年の経過で出せた課税事業者不適用届出書(基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業年度は免税事業者になると宣言する届出書のことです)を、100万円以上の固定資産を購入した事業者については、3年経過しなければ提出できないということに改正?したのです。


ちょっと数字を上げて例示してみましょう。


例年900万円の課税売上と400万円の課税仕入れがあるR法人が、事業用の車を800万円で買い換えることにしたとしましょう。 無論、これまで免税事業者です。


車の購入で40万円の消費税を負担することになるので、これを取り戻せるように課税事業者選択届出書を出しておいて、課税売上900万円に対する消費税45万円から通常の課税仕入400万円と車両の800万円の合計額に対する消費税60万円を控除すると、15万円の還付を受ける事ができます。


免税事業者のままだと通常取引で納付しなくてもよい消費税額が25万円あるので、車の消費税40万円からその25万円を差し引いて実質15万円の持ち出しということになります。 その事業年度だけをみれば15万円の還付と15万円の持ち出しを比較すれば30万円違うので、課税事業者選択届出書を出した方が良いと言うことになります。

しかし、その翌事業年度では免税事業者であれば納付しなくて済む25万円が手許に残るのに対し、課税事業者の場合は消費税でのメリットは0と言うことになります。 都合二年間でみると課税事業者を選択して免税事業者にもどれば5万円得になるというのがこれまでの制度でした。

しかし、今回の改正で3年間は課税事業者を続けなければいけませんから、免税事業者のままでいれば1年目15万円の持ち出し、2年目と3年目それぞれ25万円のメリットで総額35万円のメリット。 課税事業者になると1年目こそ15万円のメリットがありますが、2年目と3年目はメリットなしですから、課税事業者にならない方がいいのです。

今回の改正は自動販売機スキームを押さえ込むという面が強調されていますので、普通の事業をしている事業者には関係ないと思ってはいけないと言うことなのです。 よく試算して選択しないと損になる場合もあると言うことです。 ここは注意しておきましょう。


また、課税売上が1,000万円を超えるので簡易課税の適用を受けようと、簡易課税制度適用届出書を提出していても、届出が無効になる場合があります。 話が長くなったので詳しく説明しませんが、影響の大きさから言えばこちらの方が問題かも知れません。

大雑把に説明してきましたが、改正の内容はなかなか複雑です。 免税事業者で100万円以上の固定資産を購入する予定のある事業者は、よくよく税理士さんと相談してくださいね。





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